2011年9月26日月曜日

Let Me In(『モールス』)


2008年のスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のリメイク。

……とのことなのだけど、調べてみると原作小説をこっちの方が先に映画化しようとしていたらしいです。僕は一応『エリ』の方は先に観ていたけど、雰囲気としては原作+『エリ』のテイストを維持してアメリカで作り直した感じ、とでも言いましょうか。


で、感想。

観はじめて先ず目に付いたのが『エリ』で全体を覆っていた”北欧っぽさ”はとはまた違う、全体にトーンを落とした色味。閉塞感という点では『エリ』に近いような……。
全然関係ないけど『告白』とかの画の感じもちょっと近いかな?
原作には主人公オーウェンとヴァンパイアの少女アビー、という二人をとりまく世界以外にも、他の登場人物たちのストーリーがしっかり書かれているらしいのですが、この映画では(『エリ』以上に)二人とその周囲だけに話を絞っている気がします。雪に囲まれた小さな町(80年代のアメリカ描写も良いです)、この色味や閉塞感も然り。更には二人の境遇も。より二人の孤独感が出るように演出しています。オーウェンの両親の顔が一度も映らないところとか。

ちなみに『エリ』は削るところ削ったせいで、原作を読むかある程度調べるかしないと、よくわからないままだったり大きく印象が変わる部分も多いです。良くも悪くも(詳しくは書きませんが、かなり決定的な要素が描かれていなかったりします)。
一方『モールス』は『エリ』でグレーだった部分を分かり易くしたなー、という感じ。
そのせいかアビーの父(まあ父ではないのだけど。役名の都合上。。。)とオーウェンの対比?関係?がより強く表れていたように感じました。そこを意識したせいかラストシーンも、ちょこちょこ言われてる「意外」という感想は出てこなかったなあ。

あと忘れてはいけないこの映画の重要な魅力の一つがアビーを演じたクロエ・グレース・モーリッツでしょう。彼女が見せる表情がひたすら印象的でしたね。良かった。

総合すると『エリ』もこっちも甲乙つけがたい笑
どちらも良かったことには変わりないです。万人受けするものではないでしょうが、こういう映画が好きな人は少なからずいるのでは。
『モールス』→『エリ』の順番で観ると分かり易いと思います。