2011年11月13日日曜日

movie

最近観たものをピックアップ


21 Grams(『21グラム』)

『バベル』の監督が、その前に撮った2003年の作品。
バベルはテーマとか描きたいことはとても共感できるし良かったと思うのだけど、どうしても引っかかってしまうシーン(東京のところとか)が幾つかあって僕としてはどうにも消化不良なところがありました。それに対してこの作品はテーマの重さのわりにすっと引き込まれまれて良かったです。

断片的に過去と現在の描写が入り乱れるけれど、複雑さは感じられず、役者陣の演技とあいまって、観た後にとても余韻が残る作品でした。

そう演技!
デル・トロさんもショーン・ペンもナオミ・ワッツもシャルロット・ゲンスブール(関係ないけどこないだのアルバムは素晴らしかった)もみんな迫真の演技ですよこれ。
(この作品でデル・トロさんはアカデミーの助演男優にノミネートされているのですが、本格的にブレイクしたのはソダーバーグの『チェ』でしょうか。そっちはまだ観てないのでそのうち観たいな……。)
役者の鬼気迫るような演技がリアリティを引き出しているなあと思いました。



Slumdog Millionaire(『スラムドッグ$ミリオネア』)

だいぶ見逃してた感があります笑

『トレインスポッティング』で有名なダニーボイルが撮っただけあって疾走感がある演出でどんどん先へ持って行かれる感はあります。そこらへんはダニーボイルだなー、と。
いいところで良い音楽がかかるのもまさにトレインスポッティング。
この作品では随所でインドのポップス?やいわゆるゲットーミュージックみたいな曲が使われていて、それがいい感じの味付けになっていました。

ただ、
オチが「運命」(もはや運じゃないですかこれ)でみんなで踊って終わりってなんやねん、とやっぱり思ってしまうし、モヤっとしたシーンも結構多いのは事実。

このへんインド映画っぽいと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、まあアカデミー作品賞というのならばちゃんとしてほしかったなあと思います(逆にアカデミー賞が変にハードルを上げすぎているのかも)。

…と、つっこみどころはありますが全体通しては面白かったです。
というか観ている人に最後に面白かったという感想を抱かせられるからこそアカデミー作品賞なのでは、と思ってしまいました。まあいいか……。おすすめ。




District 9(『第9地区』)


これも長いことずっと気になっていた作品。
すごく面白かったです。というかよくできてるなーと感心してしまった。

エイリアンが南アフリカ・ヨハネスブルグの上空に襲来したものの宇宙船の故障と指揮を執っていたエイリアンが死んだ?せいで、衰弱しきったエイリアン(作中でエビと呼ばれる)達が地上の第9地区で難民として生活し始めて、20数年が経過…といのが基本設定。

本編はそこからずっとドキュメンタリーという体で進みます。同じようなところで言えばは『ブレアウィッチプロジェクト』とか『クローバーフィールド』とかもそうでしょう。


なのですがこの作品がちょっと違うなと思ったのは、途中からドキュメンタリー調ではなく普通に現在視点のドラマになっているところ。フツーにSFな戦闘が繰り広げられます。それでも途中途中にもニュースの映像が入ったり、ラストもドキュメンタリーで終わらせているし、その辺りの繋ぎが実にスムーズ。まずそこがすごい。

次にエイリアンの立場。
SF映画では侵略者として登場することが多いエイリアンですが、この映画では搾取される存在として描かれています。ちょっと『アバター』っぽい。
…が、これも、主人公はエイリアンを虐げる立場だったのが、最終的にはエイリアンと協力してラボを襲撃、エイリアンが同等な立場になっていたりと、『アバター』とはちょっと違うのですね。ここが第2の気になったところ。

通して観ると、ありそうであまりなかった構成の映画だな、と思います。

いろいろ書きましたがとにかく面白い!これがアカデミー作品賞ノミネートは納得(笑)